2014年に公立学校の生徒用PCが37.5万台増えるはずが1.2万台しか増えてない件 (1)

文部科学省は2014年度~2017年度の4年間で総額約6700億円を掛けて公立の小中高学校及び特別支援学校のPCなどの情報環境を整備する計画です。

第2期教育振興基本計画(平成25年6月14日閣議決定)で目標とされている水準の達成に必要な所要額を計上した「教育のIT化に向けた環境整備 4 か年計画(平成26~29年度)」に基づき、平成29年度まで単年度1,678億円(4年間総額6,712 億円)の地方財政措置が講じられることとされています。

 

http://jouhouka.mext.go.jp/school/pdf/2014ICT-panf.pdf

これにより

  • 教育用コンピュータ1台当たりの児童生徒数 3.6人
    • コンピュータ教室40台
    • 各普通教室1台、特別教室6台
    • 設置場所を限定しない可動式コンピュータ 40台
  • 電子黒板・実物投影機の整備(1学級当たり1台)
  • 超高速インターネット接続率及び無線LAN整備率 100%
  • 校務用コンピュータ 教員1人1台

 が目標として設定され達成されることになっています。この目標の達成に必要な生徒用の新規追加PCの総数は約150万台です。これを単純に4で割ると1年当たり37.5万台増える必要があります。そこで10月に発表された「平成26年度学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果:文部科学省」とその統計をみますと、2015年3月1日の教育用(つまり生徒用)PCの総数は1917103台です。前年の2014年3月1日時点では1905304台ですから、37.5万台増えるはずが1.2万台しか増えていません。

 PC1台10万円としても37.5万台で375億円です。予算額1678億円は目標を達成するのに十分な額が計上されていたことがわかります。にもかかわらず、なぜ目標を大幅に下回る結果となったのでしょうか。

原因は地方財政措置による予算措置

この事態の原因の一つには、そもそも教育の情報化のための予算が地方財政措置(つまり地方交付税)を経由して各地方自治体に配分されていることがあります。地方交付税は各自治体の規模に合わせて配分されますが、その使途は制限されておらず、各自治体の自由裁量となっています。ですから本来であれば教育の情報化のために使われるはずの予算が別のことに使われることによって今回のような事態が起きたと考えられます。

文部科科学省も調査結果の速報が出た直後の10月に慌てて「教育情報化の推進に対応した教育環境の整備充実のための地方財政措置について(通知)」を各地方自治体の教育委員会宛に出して事態の改善を図ろうとしています。が、逆に言えば責任をすべて地方自治体に押し付けようとしているともいえます。

そもそも地方財政措置では予算が教育の情報化に使われないであろうことは過去の経緯から言っても十分に予想されたことでした。にも関わらず、従来通り地方財政措置により予算を配分したことが今回の事態の根本的な原因であり、今回の事態の責任は文部科学省にあると考えます。

次はこれに関して詳しく見ていきます(予定)。